製品開発にかける想い
カグラはこれまでにLPガス関連の数々の製品を世に送り出してきました。時代の流れを読み、お客様のニーズに応え、独自のアイデアを凝らした製品群は、性能、品質などあらゆる面でお客様から高い評価を受け、カグラの経営をしっかりと支え続けてきました。ここでは、代表的な製品をピックアップして、ご紹介します。
ミニマム
カグラの最大のヒット商品である「ミニマム」が発売されたのは1998年5月、プラント事業の低迷で大幅な債務超過に陥った翌年のことでした。当社はプラントに代わる事業の柱としてベーパーライザーに大きな期待をかけていました。当初進めていた「新型ベーパーライザー開発プロジェクト」は会社の命運をかけた、言わば起死回生の取り組みでした。3年間にわたり開発会議である「トップシェア会議」で煮詰めてきた新型ベーパーライザーのコンセプトは「超小型・高性能・低価格」でした。「超小型・高性能」と「低価格」、この矛盾する要求をいかに両立させるかが最大のテーマでした。「ミニマム」は見事にこの期待に応えてくれました。従来の半分の大きさのボディーに秘められた多彩な機能は、ベーパーライザーのあらゆるユーザーを仰天させるに足る画期的なものでした。おかげさまでカグラは息を吹き返し、50%を優に超えるマーケットシェアを獲得することができました。
私たちは「ミニマム」から多くのことを学びました。お客様のニーズを的確につかむことがいかに大事かということ、開発は決して一人の力では成し遂げられないこと、答えは「これ以上は無理だ」と考えた先にあるこということ、そして自分たちの製品が世の中に役に立つと信じ続けること。そういう意味でその後のカグラの製品はすべて「ミニマム」のDNAを受け継ぐ子どもたちということになるでしょう。「ミニマム」はカグラにとって、名前は「最小」を意味するものであっても、その貢献度は「最大」と言えると思います。これからの私たちの課題は、「いかに『ミニマム』を超えるか」ということになるかもしれません。
BAiO/e-BAiO
「BAiO」(バイオ)。その名前の由来は「Bulk All in One」、つまり「すべてを一つにまとめたバルク」という意味です。バルク貯槽のプロテクターの中にベーパーライザーを内蔵してしまえば便利だということは誰でも思いつきますが、それを現実のものにすることは並大抵のことではありませんでした。コンパクトベーパーライザーと言われた「ミニマム」ですら蒸発能力100kg/hのものは直径43cm、高さ81cm、重さ100kgの大きさになりますが、それをあの小さなプロテクターに入れてしまおうというのですから、当初「そんなことはできるわけがない」という意見が大半を占めたことは無理もないことでした。しかしその後、「ミニマム」で培った小型化のノウハウを駆使して、様々な試行錯誤の末、プロテクターへの内臓を成し遂げました。
当社の工夫はそれに留まりませんでした。「バルクコンポ」のようなユニット製品は、工場から据え付け地までの運送コストが大きなネックになっていました。そこで編み出した方法が「デポ生産方式」でした。従来は全国すべてのお客様に有馬工場で作った製品をお届けしていましたが、「BAiOシリーズ」は全国に数か所のデポ基地を設け、そこで当社のサービス代理店が組み立てを行い、最も近いデポ基地から製品を配送することとしました。その結果、日本全国どこへでも一律の安価な運賃で「BAiO」をお届けできるようになりました。「デポ生産方式」には、デポ基地を提供してくれた貯槽メーカーや組み立てを担当してくれたサービス代理店の協力が必要でした。従来開発は自社の力で完結させるものと考えてきましたが、「BAiOシリーズ」では他社とのコラボレーションにより付加価値を高めることに成功しました。これは従来にない開発手法であり、今後のカグラの可能性をさらに広げるものになりそうです。
オートコンポ
自動車の排気ガスによる環境汚染が深刻な問題となっており、企業に社会的責任として環境保全を求める声は日に日に高まっています。このような状況において近年さまざまな業界で低公害車への転換が活発になってきています。LPG車は早くからタクシーに利用されるなど、もっとも実用化された低公害車でありながら、ガスを充填するスタンドがガソリンスタンドに比べて少ないことがネックとなり、LPG車への転換を躊躇するケースが少なからずありました。
カグラは、インフラ整備の観点から、①安全で、②誰にでも簡単にセルフ感覚で操作でき、③設置スペースもわずか軽自動車1台分とコンパクトに設計された簡易なLPガススタンド「オートコンポ」を開発しました。「オートコンポ」は、「安全・安心・簡単・コンパクト」とまさに自家用にピッタリなシステムとなっており、すでにLPG車をお使いでガス充填に不自由を感じておられる企業様、また今後LPG車の導入をお考えの企業様に、きっとお役に立つものと考えています。